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俳句の創造へ 

今月の俳句Haikus this month

陸誌から

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中村和弘
2026年2月号
<南瓜の種>

ビル街に薄の穂綿浮遊せり
海綿の真水に崩れ師走かな
絶壁に熊の爪痕冬に入る
冬至南瓜の種は鸚鵡に与えたり
昆虫の血液青く去年今年
巨船の揺れ体にのこり冬晴るる
          は し
冬晴の尾は水平に馬疾走る

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2026年1月号
<赤富士>

鮭の骨砂州より白し冬に入る
りゅうぐう
龍宮城も被爆か冬の紅サンゴ
ボクサーの筋肉を撃つ冬の雨
棄て仏ガザの子如何に年の果
神棚の白木の匂う歳の市
音の良き湯桶をえらび歳の市
鹿肉の赤富士めきし三日かな
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2025年12月号
<咀嚼音>

 水族館にて三句
深海鮫の巨眼に視(み)られ秋ふかむ
小判鮫自ら泳ぎ秋澄めり
呼吸孔のほかは動かず巨大鱶
黒々と杉の鉾立ち天高し
乳牛の咀嚼音のみ冬に入る
 寒河江慈恩寺にて二句
冬キャベツ隆々として慈恩なり
こんじき はいら
金色の波夷羅の目有り冬の闇
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陸・この20句 中村和弘選

2026年2月号
核の世のひそかに餅の搗き上る  小菅 白藤
秋晴や微塵の虫の光りたり    淺沼 眞規子
半月とわたしをつなぐ羽蟻の点  岩崎 嘉子
彫り深きジャワの木椅子に秋入日 石川 真木子
橋桁に犇く鯉や天高し      本多 洋子
タンカーの喫水あらは都鳥    猪狩 鳳保
鶏頭の頭撫づれぱ種こぼす    安住 正子
自販機に照らされ帰る夜寒かな  古川 章雨
初時雨駆除の獣の眼にも     吉川 孝子
玄冬の眼つめたく橋わたる    朴 美代子
満月を跨いで川を渡りけり    平  惠
道横切る黒猫のゐて熊めきし   松川 和子
わいわいと達磨のやうな薩摩藷  伊藤 岳栄
鯉のエサー粒もらう小春かな   小橋 めぐみ
竹林の騒めき映る白障子     池崎 昌子
目もとから香る若武者菊人形   石井 節子
欲しかったもののひとつに蓮の骨 小田 桐妙女
紙飛行機さえも枯園鳴らしけり  三宅 桃子
雪吊りの縄切る音や空を裂く   柚木 浄子
沿線は果てなく灯り冬の霧    小林 夕里子

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2026年1月号
秋日影鳥に喰われる鳥に脚   瀬間 陽子
破蓮池レーザー光の槍が飛ぶ  加藤 明虫
仏法僧月の砂漠に化城あり   山本 高分子
汗の顔カメラに哂し預金出す  荒堀 かおる
どの声も世界にひとつ星月夜  米川 五山子
古代より両の掌はあり木の実落つ 渡部 洋一
難聴の吾には聞こえ秋の声   前塚 かいち
校庭の隈の苦瓜青光り     猪狩 鳳保
桃吹くや玉虫永久に乾きをる  藤川 夕海
ぼんやりと飛行機を追う秋思かな 古川 章雨
帰庫のバスに笛透きとほる無月かな 吉川 孝子
晴れた日のとめどなく散る欅かな  森池 義子
サーファーの乗る波青し鰯雲  別所 弘子
姉の剝く多面体なる醂柿    松川 和子
懸崖に撞かれて高く菊の鞠   清水 山楂子
雀らのをどりに合はす稲穂波  藤倉 頼江
火口湖は銀河の雫降る所    荒川 昌子
吾もまた原罪の裔柿熟るる   平  仲子
秋の蟬しんと小暗き家に入る  小長光 吟子
駆ける子のリュックの芒武士のごと 阿部 博子
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2025年12月号

花カンナ下着の痰の散るごとし 瀬間 陽子
ポケットに工具ふくらむ秋日和 佐藤 禎子
電線に葛蔓おもく血縁濃し   石川 真木子
多摩川の中洲乾きて秋暑し   小竹 ヒサ子
秋暑し茶筅ゆらめく海の底   十亀 カツ子
蔵書印のうすれをなぞり秋深む 上田 桜
朝シャンと言う時代あり髪洗う 荒堀 かおる
濡れ肌の鳩吹く風にすぐ乾く  秋元 道子
大雨の前の静けさ昼の虫    大瀬 響史
葉月果つ日照雨は銀に窓を打ち 今田 克
立石寺の町に谺す威銃     根岸 三恵子
精霊ばつた草よりあおく睦みをり 安住 正子
遠雷や取つてはならぬ黒電話  藤川 夕海
とんぼうの影飛ぶ日だまりの廊下 古川 章雨
西瓜切る北極点の辺りより   桜田 花音
古書店の一隅の辞書夏の果   荒川 昌子
花びらを洗う妻の手菊膾    村越 正信
双眸の骨の化身や親子鹿    内海 新
有難き月の兎や波静か     小田 桐妙女
盂蘭盆会肌にほのかな火の匂ひ 清水 りま
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大石雄鬼
2026年2月号
<年 男>

元日や寝ぐせのやうな波が来る
宝船みじかき首の神ばかり
馬肉より我は大きく雪降る日
セーターの首の中から年男
耳が陽にまぎれさうなり猿回し
工事中のやうな人から賀状来る
猫の骨なでて初場所見てゐたり

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2026年1月号
<鯨来る>

てのひらの形を変へて萩を刈る
夢まですこし菊戴の晴れた空
首筋の小川のごとし酉の市
着ぶくれて大道芸の前とほる
部屋着の首だらんと鷹の舞ひおりる
白鳥のごとく夜霧に腕とほす
喉仏よりもかなしく鯨来る

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2025年12月号
<芋 嵐>

蜉蝣の明るさとなり子と話す
秋の灯のつるつるとして三國志
母はまだ母にとどまり芋嵐
文庫本ひらきすぎたるハロウイン
太刀魚が夜を丸のみしてもぐる
次の世へ斜めに立ててゐる熊手
梟は平和の盛りすぎてゐる
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【備考】
※通常、掲載の翌月末までに掲載します。

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